- アロマテラピー
アロマテラピーの効果は脳と関係する?香りと脳のメカニズムとは
2019年10月21日更新
この記事のポイント
・アロマテラピーは、植物から抽出した香り成分である精油(エッセンシャルオイル)を使って、美容や健康、リラクセーションに役立てる自然療法
・脳と香りには深い関係があり、脳の下垂体に届く香りの信号は精神や自律神経に作用する
・香りと脳のメカニズムや神経系とホルモンの作用は医学的にも知られており、アロマをリラックス効果だけでなく予防医学として用いる場合も増えている
アロマテラピーとは
アロマテラピーは、植物から抽出した香り成分である精油(エッセンシャルオイル)を使って、美容や健康、リラクセーションに役立てる自然療法です。
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花や葉、果皮、根などを蒸したり、皮を搾ったり様々な方法で抽出したものです。
大量な植物から少しのエッセンスしか取れない貴重なものです。
日本では昔から植物を、病気の治療のための薬として塗ったり食べたりしていました。
20世紀のはじめに、世界で「アロマテラピー」という言葉が広まり、精油を用いて治療だけでなく、心身の健康や予防医学としても取り入れられるようになりました。
アロマテラピーの効果・効能
アロマの効果は、使用する精油によって変わります。
代表的なものとして知られる効果を紹介します。
・リラックス効果
・疲労回復
・自律神経のバランスを整える
・消化促進、食欲増進
・抗菌作用
自律神経のバランスを整えることでホルモンの分泌も正常に整い、結果として肌荒れ改善など女性の美容効果も注目されています。
脳と香りのメカニズム
私たち人間は、5つの感覚(①視覚 ②聴覚 ③触覚 ④味覚 ⑤嗅覚)の5つの感覚を使って生活をしています。
アロマテラピーにおいて重要なのは、⑤嗅覚です。
鼻から脳へ伝わるメカニズム
まず、嗅覚は鼻腔の上の方にある「嗅上皮」という匂いを感じる部分でキャッチされます。
香りの分子は「嗅上皮」の粘膜でできた液体層に溶け込み、嗅細胞の先端である「嗅毛」という極細の毛で取り込まれます。
取り込まれた香りの情報は、「嗅細胞」の中で興奮を起こし、電気信号に変換されインパルス(活動電位)を発生させます。
インパルスは神経線維を伝わり、脳の底にある「嗅球」と呼ばれる嗅神経を経て脳へと伝わっていきます。
脳へと入った香りの情報は、まず大脳辺縁系という古い皮質に達します。
大脳辺縁系は、食欲や性欲などの動物と共通した本能に基づく行動、喜怒哀楽などの情緒行動を支配し、自律機能にも大きな役割を果たしています。
そして、興味深いことに、大脳辺縁系は「嗅脳」とも呼ばれ、嗅覚は直接この大脳辺縁系と結びついてるのです。
そのため、鼻から伝わる香りがこの大脳辺縁系に達すると、脳に作用を及ぼし、それぞれの香りの持つ効果が身体に感じられるようになるのです。
さらに、嗅覚によるインパルス(活動電位)は、大脳辺縁系から視床下部すぐ下にある下垂体へと伝達されます。
この視床下部から下垂体へと伝わるメカニズムもとても重要です。
視床下部は生命活動に欠かすことのできない、体温・水分・血圧・睡眠リズム・消化・呼吸など様々な働きの調整を行っています。
また、下にある下垂体という器官とも密接な連携をとって機能しています。
下垂体は、さまざまなホルモンを分泌する内分泌器官で、ホルモン分泌量等をコントロールし、各臓器に働きかけて生命維持の安定に大きな役割を果たしています。
視床下部と下垂体が連絡を取り合うことで、ホルモン分泌を促したり抑制しており、一体となって身体の健康を維持する為の重要な働きをしているのです。
アロマテラピーにおいては、香りの分子を電気信号としてこの視床下部に送ることにより、脳内伝達物質の働きに変化が起きると言われているのです。
香りが脳に影響を及ぼす理由とは
大脳を新しい皮質と古い皮質で区別した場合、人間の脳の90%以上は考えたり記憶をする等の「考える脳」と言われる新しい皮質が占めていると言われています。
視覚、聴覚、触覚、味覚は、この新しい皮質の「考える脳」を経由し、その後人間の五感のなかで最も原始的であり本能的な感覚と言われる「感じる脳」に届けられます。
しかし、嗅覚だけはこの経路を辿りません。
香りの情報が「考える脳」を経由せず、古い皮質の「感じる脳」に直接届けられるのです。
これが嗅覚の一番の特徴で五感の中で、唯一「感じる脳」にダイレクトに届くメカニズムです。
他の感覚に比べて感情に訴える割合が大きく、感情や本能を支配する脳に作用します。
反応も早いのでこれが嗅覚の一番の特徴なのです。
イライラした時や、疲れた時に好きな香りを嗅いだら気分がすっきりして、リラックスした経験はありませんか?
これは、香りの情報が「考える脳」を経由せず、「感じる脳」に直接届けられるという生理的なメカニズムに基づいたアロマテラピー効果の1つなのです。
科学的にも立証されているアロマを試してみよう
人間はストレス状態にさらされたり感情的なダメージを受けると、自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスを崩したり、内分泌系の乱れが生じ、免疫系にも悪影響を及ぼすことは、科学的にも知られています。
この自律神経を司る脳へと刺激を与えることができる嗅覚を、アロマテラピーでうまく利用することで、心身の健康増進なども期待できるでしょう。
自律神経が多く関係するホルモンバランスや精神的安定、美容やセラピー分野でもアロマは多く取り入れられています。
アロマはただ感覚的に、私たちの心と体に働きかけているのではなく、科学的な脳とのメカニズムに支えられているのです。
さらに精油によって、それぞれ心身への違った効果も知られています。
香りと脳のメカニズムを理解し、色々な種類のアロマを上手に生活に取り入れることで、より効果的にアロマテラピーの効能を感じることができるでしょう。
[参考ブログ記事]
香りが生理痛に効果的!生理中におすすめのアロマオイル
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監修者
こまり
体育短大卒業後、某大手テーマパークにてショーやパレード、ツアーダンサーを勤める。
舞台・CM・TV・チアガール等を経験し、現在は「カラダメンテ養成スクール」にてピラティス、ヨガインストラクター資格スクール講師を務めながら、劇団の振り付け指導や監修なども行うヨガ、ピラティスの専門家。
[保有資格]
・IBMA(国際ボディメンテナンス協会)認定ヨガマスターインストラクター
・IBMA(国際ボディメンテナンス協会)認定ピラティスマスターインストラクター
・AEAJ(日本アロマ環境協会)認定アロマテラピーアドバイザー
・内閣府認証NPO法人国際セラピスト協会認定トラディショナルバリニーズセラピスト
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こまり
体育短大卒業後、某大手テーマパークにてショーやパレード、ツアーダンサーを勤める。
舞台・CM・TV・チアガール等を経験し、現在は「カラダメンテ養成スクール」にてピラティス、ヨガインストラクター資格スクール講師を務めながら、劇団の振り付け指導や監修なども行うヨガ、ピラティスの専門家。
[保有資格]
・IBMA(国際ボディメンテナンス協会)認定ヨガマスターインストラクター
・IBMA(国際ボディメンテナンス協会)認定ピラティスマスターインストラクター
・AEAJ(日本アロマ環境協会)認定アロマテラピーアドバイザー
・内閣府認証NPO法人国際セラピスト協会認定トラディショナルバリニーズセラピスト