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ストレッチの種類と効果。スタティックやダイナミックストレッチの違いとは?

足をストレッチする女性

2020年06月03日更新

この記事のポイント

・ストレッチのやり方は、自分で行う「アクティブストレッチ」他者を介す「パッシブストレッチ」に大きく分けられる
・ストレッチの種類はスタティックストレッチ」「バリスティックストレッチ」「ダイナミックストレッチ」「PNFストレッチ」など多くあり、それぞれやり方に特徴がある
・ストレッチは可動域の拡大・姿勢改善・骨盤調整などの多くの効果が期待できる
・運動前後や個人の身体状態によって、ストレッチの種類とやり方は変えることがポイント

アクティブストレッチとパッシブストレッチ

ストレッチのやり方の種類は、まず大きく分けて自分で行う「アクティブストレッチ」と他者を介して行う「パッシブストレッチ」に二分できます。

ラジオ体操などのセルフストレッチはアクティブストレッチ、パートナーストレッチやパーソナルトレナーが行うようなストレッチは他動的に身体をストレッチするパッシブストレッチです。

ストレッチの種類一覧

この自分で行う場合と他者を介すどちらのストレッチの場合も、やり方によってそれぞれ大きく分けて4つのストレッチの種類にさらに分けられます。
代表的な種類と効果を知ることで、身体の状態や運動のタイミングなどによって使いわけられます。

スタティックストレッチの特徴

スタティックストレッチは、静的ストレッチともいわれます。
筋の反動を使わずにターゲットである筋をじっくり伸ばしていくストレッチの方法です。
例えば、自分で膝を曲げ足首を掴み、太ももの前側を伸ばすような、よくイメージされやすいストレッチのやり方です。

バリスティックストレッチの特徴

バリスティックストレッチは、筋の反動を使って少し弾みをつけながら筋と腱(筋と骨をつなぐ組織)を伸ばしていくストレッチ方法です。
リズミカルに反動をつけるやり方です。

バリスティックストレッチを自分で行うアクティブバリスティックストレッチとする場合は、ストレッチする本人が反動をつけながら前屈し、指先でつま先を触るようなストレッチ方法です。
一方、他者を介して行うパッシブストレッチのやり方でバリスティックストレッチを行う場合は、相撲取りの稽古のように、後ろから他者に反動をつけてギューっと押されるような方法です。
どちらもターゲットである伸ばしたい筋に直接アプローチをしています。

ダイナミックストレッチの特徴

ダイナミックストレッチは反動をつけるといった点ではバリスティックストレッチと共通していますが、伸ばしたい筋へのアプローチの仕方が変わってきます。
ダイナミックストレッチでは、拮抗筋を収縮させて二次的に伸ばしたい筋をストレッチしていきます。
つまり、伸ばしたい筋肉の逆側の筋の収縮を意識することで筋を伸ばしていくストレッチのやり方です。
例えば、ハムストリング(太ももの裏側の筋肉)を伸ばしたい場合、ダイナミックストレッチでは大きく脚を前に上げ、ハムストリングの拮抗筋である腸腰筋や大腿四頭筋群を強く収縮させます。
これらの拮抗筋群が収縮することにより、二次的に拮抗関係にあるハムストリングが前後の筋のバランスをとるようにストレッチされていくのです。

PNFストレッチの特徴

脳と筋肉のつながりをスムーズにする神経系のストレッチです。

PNFとは、英語でProprioceptive(固有受容器) Neuromuscular(神経筋) Facilitation(促進)の略であり、日本語では”固有受容性神経筋促通法”という意味になります。

人間の身体には、刺激を受けとるセンサーが各所にあり、皮膚、関節、筋、腱などにこのセンサーがついています。
身体の位置を把握するもの、動きを把握するもの、力の強弱などを把握するものがあり、これを固有受容器と呼んでいます。
この受容器から様々な情報を受け取り、神経を介して脳に情報を送ることによって、人は円滑で負担のない身体の動きを可能にしています。
しかし、もし何らかの原因により(例えば、姿勢不良や怪我などによる身体のアンバランスなど)この「受容器ー神経ー脳」の伝達経路に問題が生じると、動きの連動性を失った身体はある特定の箇所を過剰に使ったり、代償的に補ったりを繰り返し、最終的には痛みや可動域の制限といった形で身体に表れるのです。
PNFストレッチは、この弱くなったり問題の生じた伝達経路を促通させ、身体を負担なく、動きやすくするリハビリ手技の一つとして、理学療法の観点からも大変有効なアプローチ方法です。
PNFを用いたストレッチはあくまで手技のひとつであり、そのパターンは無数にあります。

主にPNFを利用するストレッチのテクニックとして、ホールドリラックスやコントラクトリラックスといったストレッチ方法がありますが、伸ばしたい筋肉を一度収縮させた後、その筋にストレッチをかけるといった流れになります。
これは、固有受容器の特性である”筋はある一定の時間収縮をした後ほど弛緩しやすくなる”という生理的反応を利用したストレッチ方法です。
強度や、タイミング、時間など考慮すべき要素は沢山ありますが、PNFストレッチを上手く使えば拮抗筋のバランスをとれ、可動域も大幅に改善することが期待できる大変有効なストレッチ方法です。

ストレッチの効果・効能

・可動域の拡大
・姿勢改善
・骨盤調整
・ぽっこりお腹の改善
・肩こりや腰痛の改善
・下半身のむくみの解消
・血行促進と代謝のアップ
・冷え性の改善

3大効能:関節の動きを作る

ストレッチにより、収縮と伸張のバランスがとれて関節の動きを作ることが可能となります。

人間の身体は、一つの筋肉を収縮した際に、反対側の筋肉が伸びることにより、動かすことができます。
身体を動かす際には「収縮」する筋肉に意識を向けがちですが、「伸びる」筋肉がうまく伸びなければ身体は動きません。
ストレッチにより筋肉を柔らかくして伸びるようにすることで動きが滑らかにそして可動域も広がるのです。

例えば、膝を伸ばす際、大腿の前面に付着する筋である大腿四頭筋が収縮して、膝を伸ばします。
この例では大腿四頭筋が膝を伸ばす主な筋群となるので、”主働筋”として働きます。
しかしこの際に大腿四頭筋群のみが収縮して膝が伸びているわけではありません。
大腿四頭筋の拮抗筋群にあたるハムストリングスが”伸びて緩んだ”時に、初めて膝を伸ばすという動作が可能になります。
いくら大腿四頭筋の収縮が強くても、拮抗筋であるハムストリングが硬く、充分に伸ばせなければ膝はいつまでも曲がったままなのです。
この例でいうと、ハムストリングをストレッチする事により、収縮と伸張のバランスがとれ、関節の可動域が拡大して初めて膝が伸びるのです。
このように、ストレッチは「曲げる・伸ばす・ねじる」などといった関節の動きを発揮しやすい環境をつくりだしています。

3大効能:筋の長さを整える

ストレッチにより、筋肉のバランスの歪みを整えることが可能です。

主働筋と拮抗筋を元に考えてみましょう。
電柱のように立っている一本の骨を、前からは主働筋が、後ろからは拮抗筋が付着していると想定します。
主働筋、拮抗筋ともにバランスが整っていて、長さが同じであればこの骨は真っすぐに立つ事ができます。
しかし、筋の長さのバランスが整っていない状態になった場合、例えば主働筋が硬くて短くなり、拮抗筋がそれに引っ張られるように長くなってしまった場合、真っすぐ立つはずの骨は、真っすぐに立つ事ができずに硬くて短い主働筋の方向に傾いてしまいます。
筋のバランス不良がある場合、骨が傾き関節が正しい位置に収まることができず、背中が丸まってしまう猫背や内股、ガニ股といった不良姿勢となります。
この姿勢で日常生活が続けば、ストレスとなり、コリや痛みの原因となります。
逆に、拮抗関係にある筋のバランスが整えば、姿勢改善や日常生活繰り返しによる身体へのストレス軽減、怪我、痛みの予防も期待できます。

3大効能:筋の弛緩(リラックス)

ストレッチにより筋を弛緩(リラックス)させることで血行が良くなりむくみ改善に繋がります

筋には”ミルキングアクション”というポンプのような動きをする生理的な反応があります。
筋には血管が通っていますが、通っている血管は自分で動く(収縮する)力はないので、周りの筋に頼っています。
筋が縮む、伸ばされるというポンプのような動きを繰り返す事によって血液を循環させて心臓へと戻しています。
もしこの筋ポンプ作用が機能しなかった場合、血液がうまく身体を循環することができず、活動が減少し、「むくみ・こり・冷え性」などといった症状につながっていきます。
他にも、血液は、栄養を身体の各組織に運ぶという重要な役割がありますから、これがうまくいかなければ、疲れやすくなったり、身体の回復が遅れたりといった問題が起こります。

ここで、活動が低下していたり、縮んでいる筋にストレッチをかけて動かしやすい状態にしておくと、筋ポンプ作用を活性化し、血液循環を促進させることができるのです。
これによって血液が身体にいきわたりやすくなり、身体に溜まっていた老廃物なども循環されて身体の疲労も溜まりにくくなる効果が期待できます。

運動前に効果的なのはダイナミックストレッチ

運動前には、ダイナミック(動的)ストレッチが効果的だと言われています。

筋肉はゴムのように伸びたり、縮んだりという動きを繰り返しています。
このゴムのような筋肉に対して、運動前にじっくりと伸ばすスタティックストレッチをかけたとします。
スタティックストレッチによりリラックスして弛緩した筋肉は、例えると伸びきったゴムです。
この状態で、激しい筋肉の収縮(伸び縮み)が必要とされる運動を行うと、収縮力が鈍り身体がうまく反応なくなる可能性が高くなります。
さらに、伸びた筋肉に急激な収縮力がはいることにより、筋肉が損傷する可能性も高くなってしまいます。

運動中に筋肉が収縮しやすい状況を作るには、やはり運動前にダイナミックストレッチを用いて筋肉が収縮しやすい状態をつくることがパフォーマンス発揮、怪我の予防には適しているといえるでしょう。

運動後にはスタティックストレッチが効果的

運動後の筋肉の拘縮を自分で伸ばしていくには、スタティック(静的)ストレッチが効果的だと言われています。

運動後は収縮を繰り返して縮んだ筋肉に対して、主に筋の弛緩を目的としたスタティックストレッチを行う事で、リカバリー(回復)速度を高め、疲労の早期除去を期待できると考えられています。

運動前にはスタティックストレッチは逆効果なの?

運動前にスタティック(静的)ストレッチをすることで筋出力が低下するという論文があるため、現在では「運動前にはスタティックストレッチはしない方がいい」という考え方が主流になっています。
しかし実はその一方で、スタティックストレッチをした後に、筋収縮を加えれば筋力低下に対する問題は解決できるという論文もあるのです。
参考論文:ストレッチングによる筋力低下は筋収縮により解消するか?

そのため、確かにパワーリフターが競技大会でバーベルを挙げる直前に静的ストレッチをすることは筋力低下が起こるため避けるべきですが、ごく一般的なフィットネス参加者が運動前に静的ストレッチをしても問題ないと思いますし、筋トレをするにしてもよほど数字を求めているわけではなければ、運動前にストレッチをしても全く問題ないでしょう。
私の競技の実体験からも、試合前(おおよそ2時間前)までには入念にスタティックストレッチをして可動域を広げておくことでダイナミックな動きをできるようにしておき、ダイナミックストレッチ→実践の動き、といった感じで徐々に筋出力を上げていっていました。逆にスタティックストレッチを全くしていないと、可動域が制限されて良いパフォーマンスが発揮できないのです。

このように論文をみると、「それが正解」と考えてしまう人は多いのですが、1つの論文だけを鵜呑みにしてしまうのではなく、より深く考察していくリテラシーが必要となるのです。そして、最終的には実体験も踏まえて自分にあったものを取り入れていくべきです。

個人によってストレッチの種類は使い分けるべき

近年の研究報告では、運動前に行うストレッチの種類と怪我の発生率は比例しないという報告もあります。
ベースとしては上で紹介したように運動前はダイナミックストレッチが効果的だと言われていますが、あまりに短縮した筋がある場合、その筋が運動のブレーキ(抑制)となり、他の部位にストレスがかかり結果的に怪我につながるといったことも充分に考えられています。
その場合は短縮してしまっている筋をスタティックストレッチにより弛緩させる必要があります。

運動前はダイナミックストレッチ、運動後はスタティックストレッチという考えはあくまでベースであり、それを基本に個々にあったストレッチを施すことが最も重要でしょう。

一言でストレッチと言っても、状況やタイミング、個人によってさまざまな活用方法があります。
たくさんあるストレッチの種類の特性を理解した上で、その状況にあった適切なストレッチができるよう、より深く身体のことについて知識を深め、効果的に身体をメンテナンスしましょう。

まとめ

・ストレッチのやり方は自分で行うアクティブストレッチと他者を介すパッシブストレッチに大きく分けられる
・ストレッチの種類は「スタティックストレッチ」「バリスティックストレッチ」「ダイナミックストレッチ」「PNFストレッチ」などに多くあり、それぞれやり方に特徴がある
・ストレッチの効果
は①関節の動き作り ②筋の長さを整える ③筋のリラックス などがある
・運動前後や個人の身体状態によって、ストレッチの種類とやり方は変えることがポイント

身体が柔らかくなる、姿勢が改善する、肩こりが改善する、などストレッチはたくさんの効果が期待できます。
しかし行うタイミングや相手によってはその効果も変わってきます。
ストレッチの種類と特徴を理解した上で適切なやり方を取り入れることで、より効果を最大限に得られるようにしましょう。

[ストレッチをもっと深く学ぶ!]
IBMA認定パーソナルストレッチトレーナー資格取得スクール

[参考ブログ記事]
ストレッチをすれば本当に怪我をしにくくなるのか?トレーニングとストレッチはどちらが大切?
美しく、しなやかに開脚するために、もっとも効果的なストレッチ方法とは?ストレッチの時間について

この記事の著者
IBMA

監修者

IBMA

[公式HP]http://ibma.asia/

ボディメンテナンスに関する様々な資格の認定事業を行い、確かな知識と技術を持った専門家を育成。
今後はアジア各国を中心とした啓蒙活動も視野に入れ、国際的な格調ある資格団体を目指している。
様々なボディメンテナンスの現場に携わる専門家を育成し、相互研鑽を通じて専門性を高め、世界にセルフメンテナンスの普及を図り、社会貢献していくことを目的としている。

[主な認定資格]
・IBMA認定ヨガインストラクター資格
・IBMA認定ピラティスインストラクター資格
・IBMA認定パーソナルストレッチトレーナー資格
・IBMA認定パーソナルトレーナー資格
・IBMA認定タイ古式マッサージセラピスト資格


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ボディメンテナンスに関する様々な資格の認定事業を行い、確かな知識と技術を持った専門家を育成。
今後はアジア各国を中心とした啓蒙活動も視野に入れ、国際的な格調ある資格団体を目指している。
様々なボディメンテナンスの現場に携わる専門家を育成し、相互研鑽を通じて専門性を高め、世界にセルフメンテナンスの普及を図り、社会貢献していくことを目的としている。

[主な認定資格]
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