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アスレティックトレーナー(ATC)の求人と就職状況。どのような所で働ける?
2019年08月28日更新
アスレティックトレーナー(ATC)になる事を目指して、海外に行く日本人の方々が多くなってきました。
しかし、アスレティックトレーナーを目指す、もしくはアスレティックトレーナーになった後に、必ず考えなければいけない事があります。
それは「アスレティックトレーナーになった後にどうするか?」という事です。
今回は、最も大切なのにも関わらず、意外と考えられていない「アスレティックトレーナーになった後にどうすべきか?」ということに注目していきます。
実は、アスレティックトレーナー(ATC)になったにも関わらずこの業界を辞める人は少なくありません。
個人の選択なので、辞めようが続けようが何も言えませんが、やはりアスレティックトレーナーになった後の現実をイメージできていなかったことが理由の一つだと考えられます。
まず最初に理解していただきたいのが、「アスレティックトレーナーの資格を取得した・アスレティックトレーナーになれた」というのはゴールではなくスタートです。今まで長時間学んできたわけですから、多くの方々がアスレティックトレーナーになった後に、「アスレティックトレーナーだぜ」という自己満足感に陥ると思います。
しかし、そこで何も勉強しなくなったら、そのレベルのアスレティックトレーナーということです。
大学(Undergraduate program)で学ぶアスレティックトレーナーの内容は全て基礎中の基礎です。また、大学で勉強した内容が、現場で全く使えないなんて事もあったりします。Thomas Test(トーマステスト)やOber’s Test(オーバーテスト)の本質は?など、アスレティックトレーナーになったばかりではまだまだ知らない事が多くあるでしょう。
ここからは、アスレティックトレーナーになった後に日本に帰って活動していきたいと考えている学生には、シビアな現実となります。
日本のスポーツチームに所属して、アスレティックトレーナー(ATC)として活動したいと考える学生は多くいると思います。
しかし、そのポジションは限られているため、現実的には非常に厳しいと言わざるを得ません。また、ある程度の人脈もないと、実際にスポーツチームに就いて仕事をするのは厳しいです。
現実的に、日本はアメリカと比べ、アスレティックトレーナーが働ける現場が少ないのです。
そうなりますと、スポーツチーム以外では、どこで働けるか?という事になります。実際にその他でも働ける場所は少ないのです。アスレティックトレーナーは日本の国家資格ではありませんし、病院では働けません。
日本で働く多くのアスレティックトレーナーは、パーソナルトレーナー資格など、その他の資格も持って働いています。
私の先輩には、アメリカでアスレティックトレーナーになった後に日本へ帰ってきたのですが、さらに理学療法の学校に通い、理学療法士の資格を取得して活動している方もいます。
日本で働くのであれば、アスレティックトレーナーに+αな事が必要と言えるでしょう。そして、パーソナルトレーナーとして活動する傍ら、アスレティックトレーナーとしてチームをたまに見るというような活動をされている方が多いようです。
アメリカでアスレティックトレーナー(ATC)として働く場合も、難しい点が何点かあります。
1つ目はビザの問題です。
アメリカの大学でアスレティックトレーナーとして働く以外は、ビザの申請が非常に難しくなっています。
私は、田舎の方の理学療法士が経営しているセラピー会社に勤めていたのですが、やはり小さな会社でビザを申請するのにはお金がかかりすぎるそうです。そのため、日本人アスレティックトレーナーが就職できる一番の場所が大学だと思います。
2つ目は、経歴です。
アメリカで働く場合は、日本人のアスレティックトレーナーのみならずアメリカ人アスレティックトレーナーや世界各国のアスレティックトレーナーがいます。
もちろんアメリカは広く、ポジションも多くあります。
しかし、競争相手はもちろん英語がペラペラのネイティブです。そのアスレティックトレーナーたちを退け、日本人アスレティックトレーナーが雇われるためには、やはりアスレティックトレーナー+αが必要です。
また、今多くの大学で雇われているアスレティックトレーナーが大学院卒です。つまり大学(Undergraduate)を卒業したばかりの、日本人ATCはそうそう大学でいきなり働けるものではありません。多くのアスレティックトレーナーは大学院へ進み、Graduate Assistantship(グラジュエイト・アシスタントシップ)という制度で、大学院へ通いながら仕事を大学内で持つというポジションへ就きます。この場合、実際にチームを一つ持つ事が出来、そして授業料免除等のメリットがあるので、経験を積むのに非常に有利です。ただ、このGraduate Assistantshipも非常に競争率が高いため、ポジションを得るのには努力、そして人脈も重要な要素の一つです。
では実際に、アメリカにおけるアスレティックトレーナー(ATC)の職場を中心に、どのような場所でアスレティックトレーナーが求められ、働いているかを紹介していきます。
恐らく、アメリカでアスレティックトレーニング学科に入る多くの日本人生徒は、「アスレティックトレーナーになったらプロのチームに就きたい!」と答えるはずです。
プロチームのアスレティックトレーナーは、数多くあるアスレティックトレーニング職の一つです。
しかし、これはほんの一握りのアスレティックトレーナーのみが就けるポジションであり、求人倍率は非常に高くなります。
プロチームに就くには、求人のタイミングも非常に重要になるのです。前任のアスレティックトレーナーが辞めない限りはそのポストは空かず、頻繁に求人にがかからないのが、プロチームのアスレティックトレーナーのポストでしょう。
現実的に、職場として一番多いのが大学です。
大学には将来有望な選手が沢山います。大学によってはオリンピック選手だったり、プロとすでに契約を結んだ選手がいたりします。基本的にアメリカの大学は、多くのスポーツチームが存在するため、多くのアスレティックトレーナーが働いているのです。
また、アメリカには、Division I〜III(大学のリーグ)まで多くの大学があるので、アスレティックトレーナーの需要は多いといってよいでしょう。
大学にはかなり頻繁に求人がかかっています。
日本の大学でも、アスレティックトレーナーの求人はあります。
高校も、アスレティックトレーナー求人が多い職場です。
大学もそうですが、ユニークな契約がある高校があります。それが派遣です。私はインターンシップで多くの高校にいきましたが、そこで出会ったアスレティックトレーナーは殆どが派遣されているのです。
プライベートスクール(私学)では予算も十分にあるため、そのままアスレティックトレーナーを雇う高校もあります。
しかし、多くのパプリックスクール(公立)は予算も限られており、その地域の病院と提携し、アスレティックトレーナーを派遣してもらうと言った形態があるのです。
私自身も仕事に就いた時に、派遣という形で地元の高校と大学で働いていました。アメリカでは、アスレティックトレーナーは病院でも働けますので、この様な雇用形態が生まれたと考えられます。
アメリカでは、理学療法士と一緒に病院で働くこともできるため、一般の方のケアもします。
日本では、トレーナー団体に属し、高校に派遣もしくはアルバイト契約のような形でクラブと提携し、選手をケアできるようです。
アメリカの病院でアスレティックトレーナー求人がかかる場合は、あらかじめ高校に派遣のアスレティックトレーナー募集、もしくは病院施設内のアスレティックトレーナー募集といった形で求人がかかります。
そして、アメリカで独特なのが、会社務めのアスレティックトレーナーです。
例にあげると、テーピング会社や関節サポーター会社等です。関節サポーター会社ではオーダーメイドで作ったりするので、一人一人のサイズを計り受注します。
日本でも、もちろんこういった会社で働けると思いますが、アメリカで独特なのがアスレティックトレーナー資格保持者を中心に雇用するという事があります。アスレティックトレーナーは、こういった装具にも精通しているからでしょう。
他にも、ディズニーランドやシルク・ド・ソレイユなどのアミューズメント施設、郵送会社、肉体労働会社等に勤めるアスレティックトレーナーもいます。演者や肉体労働者は身体を酷使し、様々な怪我につながる場合があります。そういった労働者がすぐにケアされるように、会社にアスレティックトレーナーを雇ってしまうということです。
このように見ても、アスレティックトレーナー求人が多いアメリカと比べると、日本でアスレティックトレーナーが働ける職場は、まだまだ少ないかなと思います。やはり、アスレティックトレーナー求人件数だけみると、圧倒的にアメリカが勝ります。
アスレティックトレーナーのもつ技術は、様々な職場で活用できるはずです。
アスレティックトレーナーという職業が、日本でももっともっと注目が集まり、様々な職場で求められることを願っています。
・日本におけるアスレティックトレーナーの求人はまだまだ少ないのが現実
・難易度は高いがアメリカでもっとも花形がプロスポーツチーム
・大学の求人が比較的多い
・+αのスキルがあれば、重宝されやすい
アメリカの大学チームもしくはプロチームで日本人アスレティックトレーナー(ATC)が活躍するには、最低でも修士が必要と言っても過言ではありません。
また経歴のみならず、ビザの事も考えなくてはいけません。
日本で働く場合は、アスレティックトレーナーは日本の国家資格でない事をしっかりと頭に入れ、他の資格も合わせて取得する事をおすすめします。
どの世界でも同じですが、同じスキルを持ったライバルはたくさんいます。専門性を高める以外に+αのスキルを持つことが求められるでしょう。
以上の事をふまえ、これからアスレティックトレーナーを目指す方は行動してみてください。
[参考ブログ記事]
アスレティックトレーナー(ATC)の年収(給料)・報酬
アスレティックトレーナー(ATC)になるには?日本との違いやおすすめの大学、資格更新まで完全網羅!
監修者
根城祐介
[経歴]
米国ノースダコタ州立大学大学院在学中、アシスタントアスレティックトレーナー兼ストレングス&コンディショニングコーチとして活動し、大学院卒業を期に帰国。学生アスリートのみならず、Canadian Football League(CFL)やNational Hockey League(NHL)のプレーヤーの指導経験を生かし、多くの現役プロアスリートのパーソナルトレーニングを担当。資格スクール講師やワークショップで多数のパーソナルトレーナーを輩出しているトレーニングの専門家。
・ミネソタ州立大学モアヘッド卒業
・ノースダコタ州立大学大学院修了
・IBMA(国際ボディメンテナンス協会)顧問
・USHL Fargo Force アイスホッケー、グラジュエイト・アシスタント・アスレティックトレーナー兼ストレングス&コンディショニングコーチ(2012-2014)
[保有資格]
・IBMA認定パーソナルストレッチマスターインストラクター
・加圧国際大学認定 加圧トレーニングインストラクター
・学士(アスレティックトレーニング・エクササイズサイエンス)
・修士(アスレティックトレーニング)
・全米公認アスレティックトレーナー(ATC)
・全米公認ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(NSCA-CSCS)
・グラストンテクニックプロバイダー(Graston Technique Provider)
・セレクティブファンクショナルムーブメントアセスメント(SFMA)
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監修者
根城祐介
[経歴]
米国ノースダコタ州立大学大学院在学中、アシスタントアスレティックトレーナー兼ストレングス&コンディショニングコーチとして活動し、大学院卒業を期に帰国。学生アスリートのみならず、Canadian Football League(CFL)やNational Hockey League(NHL)のプレーヤーの指導経験を生かし、多くの現役プロアスリートのパーソナルトレーニングを担当。資格スクール講師やワークショップで多数のパーソナルトレーナーを輩出しているトレーニングの専門家。
・ミネソタ州立大学モアヘッド卒業
・ノースダコタ州立大学大学院修了
・IBMA(国際ボディメンテナンス協会)顧問
・USHL Fargo Force アイスホッケー、グラジュエイト・アシスタント・アスレティックトレーナー兼ストレングス&コンディショニングコーチ(2012-2014)
[保有資格]
・IBMA認定パーソナルストレッチマスターインストラクター
・加圧国際大学認定 加圧トレーニングインストラクター
・学士(アスレティックトレーニング・エクササイズサイエンス)
・修士(アスレティックトレーニング)
・全米公認アスレティックトレーナー(ATC)
・全米公認ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(NSCA-CSCS)
・グラストンテクニックプロバイダー(Graston Technique Provider)
・セレクティブファンクショナルムーブメントアセスメント(SFMA)