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パーソナルトレーナーやボディワーカーが機能改善のために考慮すべき3つのポイント

ストレッチトレーナー

2020年03月18日更新

この記事のポイント

・問題がまったくない身体は存在しない
・身体は繋がっているので、痛い部分だけをみてはいけない
・身体をニュートラルに整えることで機能改善されるとは限らない
・OKC/CKCを考慮したトレーニングをすること

まったく問題のない身体は存在しません

近年、トレーニング業界やリハビリ等の医療業界では、運動連鎖や筋連鎖など、身体をひとつの繋がりとして評価、分析することにより、その人が抱える問題に対処するアプローチが主流となりつつあります。
これは同時に対処療法の限界を各分野の専門家の方々が感じているというサインでもあるかもしれません。

事実、痛み等の機能不全があるにも関わらず、病院へ行ってレントゲンをとっても何も異常はなく、薬をもらってしばらく安静にするというパターンが少なくありません。
こうしたレントゲンなどの画像では特に問題はなくても、実際に痛みを抱えている場合、その人の動作パターン筋の収縮パターンに問題がある場合があります。(レントゲンやMRIなどを撮って骨や軟骨などに異常があっても、痛みがある人もいれば全くない人もいます。)

人それぞれ顔や話し方が違うように、身体の使い方や動き方も人それぞれです。
日常生活においても仕事や運動により、身体のどこかには必ずストレスが強くかかっているはずです。 そのパターンを長年積み重ねているわけですから、必ず骨や軟骨などには負担がかかります。
つまり、きれいで何の問題もない身体というのは、ほぼ存在しないのです。

機能改善のために考慮すべき3つのこと

ボディーワーカーは、健康そうに見える身体であっても、実は悩みを抱える方の問題を発見し、機能改善をしなければなりません。
注意したい3つのポイントを紹介します。

① 筋連鎖パターン

骨や軟部組織に損傷があっても痛みがある人とない人がいるということは、つまり身体の使い方パターンに問題があります
この問題の1つが「筋連鎖」です。
例えば、腰痛、特に下背部に痛みがある場合、脊柱起立筋群の活動が過剰になっていることが筋電図や触診などから確認できます。この脊柱起立筋群の活動が過剰になっている場合、筋連鎖から考えるとハムストリングと大臀筋の筋収縮に問題がある場合がほとんどです。

骨盤帯の研究者の理学療法士ダイアン・リー博士が提唱している筋連鎖パターンでは、股関節の伸展の際、同側のハムストリング、大臀筋、そして逆側の脊柱起立筋群は共同して収縮すると述べられています。

仮に左の腰背部に痛みがある場合、股関節の伸展でハムストリング、大臀筋を触診でチェックすると、どちらかの筋の収縮するスピードが遅い、又はほとんど感じられないパターンがよく見られます。(特に大臀筋の収縮不全がほとんどです)
大臀筋の収縮が不十分な場合、大臀筋の収縮を補う為に腰部やハムストリングの筋活動が過剰になり、これが股関節の伸展の度に繰り返しのストレスとなり、腰部に痛みを感じやすくなるのです。

股関節の伸展が運動や日常動作で多い方なら尚更です。
言い換えると、左の腰背部が痛いからといって腰のマッサージや針治療をおこなっても、原因になっている大臀筋の筋収縮が正常におこなわれないと、また腰の痛みを引き起こしてしまうのです。

他の筋連鎖パターンとしては、身体の前部にかけては、片側の菱形筋-前鋸筋-外腹斜筋-腹筋膜-逆側の内腹斜筋-逆側の内転筋群であると、ダイアン・リー博士は述べています。
これを元に考えると、例えば右の菱形筋の収縮パターンに問題があれば、当然肩甲骨の位置に影響を与えます。
菱形筋と筋連鎖のある前鋸筋も当然正しい位置でも活動を失い、それが連鎖して逆側の内転筋にも影響を及ぼします。
内転筋は片脚の立位の際にはバランスを保つために特に必要な筋ですので、当然逆側の骨盤の支持力を失いやすくなります。
つまり、片側の肩甲骨のポジションが逆側の骨盤を不安定にさせる原因にもなるのです。
このように、身体を痛みがある筋そのものではなく、連鎖としてみることによって、トレーニングも施術も幅を大きく広げることが出来るでしょう。
特定の部位をみることも時に必要ですが、ボディワーカーはそれだけに捉われず、全体をみて判断し、筋の再教育をしていくことが大切となるのです。

② 身体の非対称性

ヨガやピラティスやトレーニング、マッサージ・整体等のマニュアルセラピーでは、身体の「中心」や「バランス」に重点を置きます。
こうしたボディーワーカーは、筋肉や骨の左右のバランスなど、身体の左右差を調整することがほとんどです。
例えば、右の肩に比べ、左の肩が下がっている、右の脚より左の脚がより開くなどの違いや、脊柱がどちらに曲がっているのか?どちらの肩がこっているのか?などが目安とされ、この左右差を調整して、身体の「ニュートラル化」をはかることが、トレーニングやセラピーにおいてのゴールの1つとして設定されることが多いことでしょう。

身体の左右差を整えて、ニュートラル化をはかることはとても素晴らしい事です。
しかし、本当に身体のニュートラル化をはかる事が、怪我の改善、パフォーマンスの向上に繋がるのでしょうか?
実は、現場において必ずしもそうではないことが起こり得るのです。

元々、身体の中心がどこにあるのかを考えた時、左右差が全くなく、筋肉や骨が完璧に左右対称という方は、恐らく1人もいないでしょう。
寝る姿勢や利き腕、利き足、歩幅、手の振り等、左右で多かれ少なかれ違いがありますから、左右差は必ずある、むしろあるべきといっても過言ではありません。
もちろん、それらは後天的な要素もあるので、本来の身体の状態に戻しましょう、という考え方も一理あります。
しかし、先天的に非対称性を決定づけている要素があります。

それが内臓のポジションです。
人間の身体で1番重い臓器が「肝臓」です。1300〜1500グラム程度あるこの臓器は、身体の右側にのみ配置されています。
そして、この肝臓と右の横隔膜には連結があり、当然肝臓に付着する右の横隔膜は左の横隔膜に比べて、その負荷に耐える必要があるので、分厚くなる傾向があります。
最も重い臓器である肝臓が右にあり、呼吸の主動筋でもある横隔膜は右のほうが分厚い構造になっているわけですから、当然身体も右に傾きやすくなると考えられます。
近年では、身体の中心は軽度右寄りになっていると定義づける研究者やセラピストの方々も増えてきています。
「非対称」という考え方が今後常識となってくるかもしれません。

それでは、何を基準に身体やトレーニングを評価するべきなのでしょうか?
色々な考え方はありますが、怪我の予防を考えた際に、最も重要になることは、身体のスイッチの切り替えです。いかに身体が非対称性だとしても、様々な動作や状況に応じて筋肉や骨格を使いわける必要があります。
必要な時に、必要な筋肉の収縮や骨の荷重ができる、身体のスイッチの切り替えができることが、本来、非対称性がベースにある人間がバランスをとれる効果的な方法の1つとなるのです。

③ オープンキネティックチェーンとクローズキネティックチェーン

オープンキネティックチェーン(OKC)、クローズキネティックチェーン(CKC)という考え方があります。
オープンキネティックチェーン(OKC)は、身体のより中心部に近い筋肉の「近位部」が固定され、身体からより遠い筋肉の「遠位部」が動く状態のことをいいます。

例えば、フィットネスクラブなどにある「チェストプレス」のようなトレーニングマシンは、シートに座って背中をつけた状態で、腕で重りを押すような動作です。
この場合、身体の近位部がシートに固定され、遠位部の腕が重りを挙げる動作になるので、オープンキネティックチェーン(OKC)になります。
逆に、クローズキネティックチェーン(CKC)は、「遠位部」が固定されて、「近位部」が動く状態のことをいいます。
似たような動作でもプッシュアップ、いわゆる腕立て伏せの動作は、遠位部である床についた手が固定点となり、近位部の胴体を動かす動作になるので、クローズキネティックチェーン(CKC)になります。

この2つのパターンは、同じ胸の筋肉を鍛えるトレーニングであると言われていますが、実は全く異なる筋肉の活動パターンとなっています。
オープンキネティックチェーン(OKC)の場合は、筋肉の発火パターンが近位から遠位、言い換えると身体の中心から末梢方向に向かって活性されます。
逆に、クローズキネティックチェーン(CKC)の場合は、筋の発火パターンが遠位から近位、つまり身体の末梢から中心方向に向かって活性されます。

トレーニングにおいて、これがどういった違いを生み出すかというと、オープンキネティックチェーン(OKC)の場合は、筋の発火が身体の中心から末梢へと向かっていくので、ステッピングや前に進むなど、四肢の動き作りに役立ちます。
逆に、クローズキネティックチェーン(CKC)では、末梢から中心に向かっての筋パターンなので、動かない地面を押したり、踏み込んだりといったサポートや固定に不可欠な運動パターンになるのです。

つまり、トレーニングマシンなどに多いオープンキネティックチェーン(OKC)のトレーニングばかりでは、クローズキネティックチェーン(CKC)で鍛えられる身体の固定力を養うことはできないのです。
人間の運動動作の基本である「スタビリティー(固定)」と「モビリティー(動き)」の機能向上の為には、オープンキネティックチェーン(OKC)とクローズキネティックチェーン(CKC)のバランス良いトレーニングが必要となります。

まとめ

・問題がまったくない身体は存在しない
・身体は繋がっているので、痛い部分だけをみてはいけない
・身体をニュートラルに整えることで機能改善されるとは限らない
・OKC/CKCを考慮したトレーニングをすること

身体の機能改善をするにあたり、いくらアプローチをしてもうまく解決しないことがあります。
その時には一旦立ち止まって、これら3つのことを考慮してアプローチをし直してみてはいかがでしょうか。

[ストレッチの上位資格「パーソナルトレーナー」を目指す方は]
IBMA認定パーソナルトレーナー資格取得コース

[参考ブログ記事]
ニュートラルポジションとは?
ストレッチをすれば本当に怪我をしにくくなるのか?

この記事の著者
IBMA

監修者

IBMA

[公式HP]http://ibma.asia/

ボディメンテナンスに関する様々な資格の認定事業を行い、確かな知識と技術を持った専門家を育成。
今後はアジア各国を中心とした啓蒙活動も視野に入れ、国際的な格調ある資格団体を目指している。
様々なボディメンテナンスの現場に携わる専門家を育成し、相互研鑽を通じて専門性を高め、世界にセルフメンテナンスの普及を図り、社会貢献していくことを目的としている。

[主な認定資格]
・IBMA認定ヨガインストラクター資格
・IBMA認定ピラティスインストラクター資格
・IBMA認定パーソナルストレッチトレーナー資格
・IBMA認定パーソナルトレーナー資格
・IBMA認定タイ古式マッサージセラピスト資格


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この記事の著者
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[公式HP]http://ibma.asia/

ボディメンテナンスに関する様々な資格の認定事業を行い、確かな知識と技術を持った専門家を育成。
今後はアジア各国を中心とした啓蒙活動も視野に入れ、国際的な格調ある資格団体を目指している。
様々なボディメンテナンスの現場に携わる専門家を育成し、相互研鑽を通じて専門性を高め、世界にセルフメンテナンスの普及を図り、社会貢献していくことを目的としている。

[主な認定資格]
・IBMA認定ヨガインストラクター資格
・IBMA認定ピラティスインストラクター資格
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